相続・遺言のこと

不動産(土地・建物)を相続したらまず登記

相続によって不動産を取得した場合、それが自分のものであることを他人に主張するために登記をするのであり、登記しなければ罰せられるというわけではありません。「相続権のある私たち以外に遺産が行くわけがない」と考える人もいるようです。しかし、これで本当に大丈夫でしょうか。不動産をめぐる相続問題は、とかくスムーズにいかないことも多くあります。つまり登記をしておかないと、後々、困ることが起きるのが不動産相続の常識と考えておいたほうがよいでしょう。

また、長い間相続登記を放置しておくと、相続権のある人が次第に増えて、遺産分割協議が調うことが難しくなります。登記手続に必要な書類も多くなり、不動産をめぐる法律問題をさらに複雑にさせます。さらに、相続登記未了により、所有者が不明となっている土地・建物が災害復旧事業等の障がいになったり、空家問題を引き起こしたりします。今や相続登記をすることは社会的要請となっています。

相続登記には、相続関係者の戸籍謄本や除籍謄本、遺産分割協議書等様々な書類が必要になります。そうした書類の収集や作成、登記手続については、司法書士が専門性を生かしてお手伝いいたします。その他、相続に起因して様々な裁判手続が必要になることもありますが、司法書士は裁判所提出書類を作成する業務も行っておりますので、裁判所提出書類作成についてもお手伝いできます。また、遺言に関する相談にも我々司法書士は対応いたします。

事例紹介(こんな場合はぜひご相談ください)

相続する権利がある者は誰ですか。

遺産を受け継ぐことができる人として、まず法定相続人があげられます。法定相続人とは、法律で定められた相続の権利を有する人で、配偶者と被相続人(亡くなった人)の子(直系卑属)・直系尊属・兄弟姉妹に大きく分けられます。

(1)配偶者

配偶者とは婚姻関係にある夫婦の一方のことで、夫にとっては妻、妻にとっては夫を指し、以下の相続人とともに常に相続人になります。配偶者は婚姻届さえ出ていれば、たとえ別居中でも相続権があります。また、いくら夫婦のような関係にあっても、婚姻届のない内縁関係の場合は配偶者とは認められず、相続人にはなれません。

(2)子(直系卑属)

被相続人に子がいれば、第1順位で相続人になります。婚姻関係にある男女間の子(嫡出子)も、婚姻関係にない男女間の子(非嫡出子)も相続権があります。また、養子も実子と同様に相続人になります。養子は実親の相続人にもなります(特別養子縁組の場合を除く)。故人よりも前に子が亡くなっていた場合には、孫がその子に代わって相続人になります。この孫のことを代襲相続人といいます。このほか、子が生存していても孫が相続人になるときがあります。たとえば、子が相続欠格とされたり、被相続人から廃除されたなどの要件にあてはまるときです。

(3)直系尊属

父母、祖父母、曽祖父母などを指します。直系尊属が相続人になれるのは故人に子も孫もいないケースのみです。親等の近い者が優先的に相続人になります。

(4)兄弟姉妹

故人に子も孫も直系尊属もいない場合、その人の兄弟姉妹が相続権を持ちます。故人よりも前に兄弟姉妹が亡くなっていた場合には、甥姪がその兄弟姉妹に代わって相続人になります。なお、兄弟姉妹に代わって相続人になれるのは、甥姪までです。

誰にどれだけの相続分がありますか。

民法では、相続人の範囲の他に、法定相続分についても以下のように定めています。

(1)相続人が配偶者と子のケース

配偶者が全遺産の1/2を、子が1/2を相続します。子が複数いるときはこの1/2を均等に分けます。子が3人いれば子1人あたりの相続分は全遺産の1/2×1/3=1/6になるわけです。配偶者がいなければ(死亡・離婚等)、子のみが全遺産を相続します。

(2)被相続人に子などの直系卑属がいないケース

配偶者が全遺産の2/3を、直系尊属が1/3を相続します。配偶者がいなければ、直系尊属が全遺産を相続します。

(3)被相続人に子などの直系卑属も直系尊属もいないケース

配偶者が全遺産の3/4を、兄弟姉妹が1/4を相続します。兄弟姉妹が複数いるとき、兄弟姉妹の相続分は原則として均等に分けます。ただし、父母の一方が異なる場合の兄弟姉妹の相続分は、父母双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の半分となります。配偶者がいなければ、兄弟姉妹が全遺産を相続します。
なお、民法に定める法定相続分は、被相続人に遺言がなく、かつ相続人の間で遺産の分配をめぐる話し合い(これを「遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)」といいます。)で合意ができなかったときの遺産の取り分について定めたものですので、必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません。したがって、被相続人に遺言があれば、遺言による相続分の指定が優先しますし、相続人全員が納得するのであれば、遺産分割協議で例えば長男がすべての遺産を相続するという決め方もできます。(ただし、債務については原則として法定相続分通りに相続されます。)

母が亡くなりました。母親名義の家を相続したいのですが、どのような手続が必要ですか。

母親が遺言を作成しているかどうかによって、手続が異なります。母親が法的に有効な遺言を作成していて、そのなかで土地や建物を誰が相続するかについての指定がある場合には、指定された相続人がその土地建物を相続します。その際、自筆証書遺言と秘密証書遺言の場合には、家庭裁判所で「検認」という手続を済ませておく必要があります(公正証書遺言の場合には、検認は不要です)。そして、その遺言書と、関係する戸籍や住民票などの書類を揃えて、相続を原因とする所有権移転登記(相続登記)を行います。

これに対して、母親が遺言を作成していない場合は、母親が所有していた土地建物は、いったん相続人全員が法定相続分に基づいて共有することになります。したがって、この状態のまま、戸籍や住民票などの書類を揃えて、相続登記を行うこともできます。もっとも、実際には、土地や建物を相続人全員で共有することはあまりありません。通常は、その土地建物や現金、預貯金などの遺産(相続財産)も含めて、誰が何を相続するか相続人全員で遺産分割協議を行います。そして、協議がまとまったら、その結果を遺産分割協議書に記載し、相続人全員が署名や押印をして、預貯金の解約手続などに使用したりします。その際、土地建物については、その遺産分割協議書と、関係する戸籍謄本や住民票、印鑑証明書などの書類を揃えて相続登記を行います。なお、司法書士は相続手続や不動産登記手続の専門家です。相続登記でお困りの際には、ぜひお近くの司法書士までお問い合わせください。

相続登記は、必ずしなければならないのでしょうか。

相続登記をしなければならないという法律上の決まりはありません。しかし少なくとも相続人全員で遺産分割協議を行い、「遺産分割協議書」を作成し、相続登記まで済ませておかれることをおすすめします。

もし何もしないままでいると、次のようなことが起こりえます。被相続人Aが死亡し、A所有の土地建物について遺産分割協議をしないまま、さらに、その相続人である長男Bや長女Cが順番に死亡していくとします。そうすると、この土地建物の相続人は、その長男Bの配偶者と子ならびに長女Cの配偶者と子といった具合に、だんだんと相続人が大勢になっていきます。長男Bと長女Cが存命中に遺産分割協議書を作成していれば別ですが、そうでなければ、この大勢の人たちとの間で遺産分割協議書を作成しなくてはならなくなります。相続人が大勢になれば面識がないのはもちろんのこと、遠方に住んでいたり、成年被後見人(せいねんひこうけんにん)の人がいたり未成年者がいたり、遺産分割協議の内容に全面的に反対する人がいたりなど、遺産分割協議がスムーズに進む可能性が低くなります。

また、この土地建物を売却しようとする場合、あらかじめ相続登記をしておかなければ、買主への所有権の移転登記をすることができませんが、このような遺産分割協議がまとまらない状況では、すみやかに相続登記をすることはできません。つまり、相続登記がきちんと終わっていない状態だと、買主が見つかっても現実的に売ることさえできなくなるのです。このような事態になるのを避けるためにも、相続登記は、できるときに早めに行うのが良いでしょう。なお、相続登記でお困りの際には、ぜひお近くの司法書士までお問い合わせください。

遺言がある場合とない場合ではどう違いますか。

相続をめぐるトラブルは、遺言書がなかったことが原因となる場合が多くあります。亡くなったAさんには子供も直系尊属もいなかったため、遺産を妻とAさんの兄弟が相続することになりました。兄弟の中には死亡している者もいて、その子供が相続人になっており、調べると法定相続人は30人にも達することがわかりました。

このような子供のいない夫婦の場合、夫が生前に「妻に全財産を相続させる」との遺言書を書いておけば、妻は、相続手続で他の相続人に協力をしてもらうことなく全財産を誰に遠慮することなく相続できるのです。遺言とは、自分の考えで自分の財産を処分できる明確な意思表示です。遺された者の幸福を考える上でも、遺言は元気なうちにしっかりと書いておくべきです。

正しい遺言を残すにはどうすればよいですか。

将来のトラブルを未然に防ぐためにもぜひ書いておきたい遺言書。ただ、たとえ夫婦でも、同一の書面に二人で一緒に遺言すると無効になります。代表的な遺言の方式には、次のように自筆証書遺言と公正証書遺言があります。なお、遺言は、いつでも遺言の方式にしたがって、その遺言の全部または一部を撤回することができます。つまり、本人が亡くなるまでは、何度でも作り直すことができます。遺言の作成についてお困りの際には、ぜひお近くの司法書士にご相談ください。

・自筆証書遺言

自分で作成できるもので、全文・日付・氏名を自書し、押印することが必要です。内容の秘密保持には適していますが、偽造・変造・滅失・隠匿・未発見の恐れがあります。なお、書き間違えた場合、訂正についても厳格なルールがありますので、できるだけ間違えないように書くか、間違えたら最初から書き直した方が無難です。

・公正証書遺言

証人二人以上の立会いのもとに公証人が遺言書を作成します。偽造・変造等のおそれはなく、公証人が遺言書作成の手続に関与しますので、後日無効になる恐れも少ないです。また他の遺言方法と異なり、後に家庭裁判所での検認(下記参照)手続が不要となり、遺言中で遺言執行者を定めておけば、不動産の名義変更にも便利な方法です。公証人の費用が必要ですが、原本を公証役場で保管しますので紛失や偽造・変造のおそれがなく、もっとも安全で確実な方法といえます。

・検認

遺言書(公正証書による遺言を除く)の保管者またはこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければなりません。また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています。検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺書書の形状・加除訂正の状態・日付署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺書書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。なお、司法書士は、この検認手続の申立書類を作成する業務も行っておりますので、手続がよくわからない方は、お近くの司法書士にご相談ください。

遺言があまりにも不公平で納得できない場合は。

いざ遺言書を開けてみると、全財産を老人ホームに寄付するというものだった。あるいは相続人のうちの一人だけに土地・建物を相続させると書いてあった。残された者にとってあまりにも不公平な内容だったという話はよく耳にします。そんなときのために、遺留分(いりゅうぶん)という制度があります。遺留分とは、たとえ遺言者の意思が尊重されるとしても、最低限度これだけは相続人に残しておかなければならないという、いわば遺言によっても奪われない相続分のことです。民法では遺留分は次のように規定されています。

(1)兄弟姉妹には遺留分はない
(2)直系尊属のみが相続人である場合は全遺産の1/3
(3)上記以外の場合はすべて全遺産の1/2

もし遺言に納得できないときは、遺言の要件が整っているか、まず、確認すべきでしょう。そして遺留分が侵されていたら、それを取り戻す権利があります。これを減殺(げんさい)請求権といいます。遺留分の減殺請求は、相続の開始および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知ったときから1年、相続開始後10年で時効になりますので注意してください。

生前の贈与・・・特別受益とはなんですか。

生前に被相続人から受けた贈与を特別受益と呼び、生前贈与を受けた者を特別受益者といいます。特別受益には、次のような事柄が該当します。

(1)遺言によって相続分とは別に遺贈を受けた者
(2)結婚や養子縁組のために費用を出してもらった者
(3)生計の資本として贈与を受けた者

例 店や会社を設立するための資金を親に出してもらった。特定の子供だけが多額の学費を出してもらった。家を建てる資金を援助してもらった等。相続人が何人もいる中で、故人から生前贈与を受けた人と受けなかった人が両方いる場合、これを無視して遺産分割を行っては不公平になり、トラブルの原因になりがちです。そこで民法では、現実に残された財産と、生前贈与された財産を合計したものを相続財産とみなしています。ですから、現実に残された財産があったとしても、生前贈与を受けた相続人には何も受け取るものがないという場合もあります。

死んだ父親と先妻との間に子がいたことが判明しました。どうしたらいいですか。

「Aさんの父親が死亡。母は3年前にすでに他界しています。相続人は長男のAさんと妹ですが、妹はすでに結婚して家を出ており、父の残した土地と家はA さんが相続するとの合意がなされています。しかし、Aさんが戸籍謄本を調べると、母との結婚は2度目で、先妻との間に男の子が一人いることがわかりました。ふと、Aさんは以前母がいっていたことを思い出しました。「父さんが先妻との聞で『今後一切迷惑をかけない、子供の相続権も放棄させる』との念書を取っているから大丈夫だ」と・・・。」

このケースでは、先妻に関してはすでに離婚しているので相続権はもちろんありません。しかしその子については、亡くなった父親との婚姻中の子供ですので、法律上は嫡出子の身分を有しており相続権があります。苗字が違ってもなんら影響はありません。また、たとえ子供の相続権を放棄させるとの念書が取ってあっても、法律的には効力がありません。後妻の子であっても、先妻の子であっても相続の上では権利は平等です。このケースでは、Aさんはやはり父親と先妻との間の子に一度会って話し合わなければ何も進まないのです。

父親が亡くなったのですが、明らかに財産よりも借金の方が多いようです。借金は相続したくありませんが、どのような手続をすればよいでしょうか。

相続人は不動産、現金、株式などの資産だけでなく、借金も相続することになります。そのため、債務の額によっては相続放棄を検討した方がよいでしょう。相続放棄の手続は、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。なお、3か月では判断ができないような場合には、この期間を延長するよう、家庭裁判所に申し立てることもできます。相続放棄が認められれば、最初から相続人ではなかったものとみなされますので、財産を受け継ぐことは当然できなくなりますが、債務も受け継ぐことはなくなります。

なお、借金を特定の相続人が相続する遺産分割協議を行っても、そのことを債権者に主張することはできません。したがって、遺産分割協議書の中で「私は財産も借金も一切相続しません」と書いて印鑑を押しても、ここでいう「相続放棄」にはならないことに注意が必要です。司法書士は、この相続放棄の申立書や、相続放棄の期間伸長の申立書を作成する業務も行っておりますので、手続がよくわからない方は、お近くの司法書士にご相談ください。

相続人の中に未成年の子がいます。遺産分割協議を行いたいのですが、何か注意することはありますか。

未成年の子は、原則として単独で法律行為をする能力が法律上認められていません。したがって、その子が成人になるまでは、通常は親権者(父母など)が法定代理人として、さまざまな法律行為を行うことになります。しかし、遺産分割協議についてはそうとはいえません。なぜならば、例えばその子の父親が亡くなった場合、配偶者(母親)と未成年の子が相続人となりますが、母親が未成年の子に代わって遺産分割協議をするとなると、母親の相続分を増やすと子の相続分が減ってしまうというように、お互いに利益が対立する(利益相反)関係になってしまうためです。

そこで、このように、未成年者とその法定代理人とが遺産分割協議を行う場合には、その未成年者の権利を守るために、家庭裁判所に「特別代理人」を選任してもらう必要があります。そして、母親はその特別代理人との間で、遺産分割協議をしなくてはならないということになります。なお、司法書士は、この特別代理人の選任申立書を作成する業務も行っておりますので、手続がよくわからない方は、お近くの司法書士にご相談ください。

兄が死亡しました。兄は独身でしたので、相続人は姉と弟の私ですが、姉は認知症になっています。遺産分割協議を行いたいのですが、何か注意することはありますか。

認知症の程度にもよりますが、相続人のうちの一人が精神上の障がいにより判断能力が「常にまったくない」状態の場合には、そのままでは遺産分割協議ができません。しかし、遺産分割協議は相続人全員で行う必要があるので、その方を除いて遺産分割協議を行っても無効となります。また、遺産分割は財産に関する重要な法律行為ですから、自分の行為が法的にどのような結果を生じさせるのかを理解できる能力(意思能力)が必要となります。したがって、相続人が意思能力を欠いている場合、たとえその方が遺産分割協議書に署名や押印をしていても、そのような遺産分割協議は無効となります。そのため、相続人に意思能力がない場合には、成年後見制度を利用して、家庭裁判所に成年後見人の選任申立を行い、選任された後見人がその相続人の代理人として、遺産分割協議を行うことになります。

ただし、お姉さんにすでに成年後見人が選任されていて、それが弟のあなたである場合、あるいは新たにあなたが成年後見人に選任された場合には、お姉さんとあなたは共に相続人となり利益が対立する(利益相反)関係になってしまいます。そのため、このような場合には、家庭裁判所に申し立てをして、「特別代理人」を選任してもらい、その特別代理人との間で、遺産分割協議をしなくてはならないということになります。なお、司法書士は、成年後見人や特別代理人の選任申立書を作成する業務も行っておりますので、手続がよくわからない方は、お近くの司法書士にご相談ください。

相続人の中に行方不明の者がいます。どうすればよいですか。

相続人の中に行方不明の人や、生死すらわからない人がいると、遺産分割協議ができず困ったことになります。その場合は、次のような措置を講ずることができます。

・不在者財産管理人を置く

共同相続人の一人が行方不明の場合、他の相続人が家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらうよう申立てができます。不在者財産管理人は、行方不明の相続人の財産の目録を作り、それを保管できる権限を持ちます。また不在者財産管理人は家庭裁判所の許可を得れば、他の相続人と遺産分割の協議をすることができます。

・失踪宣告を申し立てる

行方不明者の生死が7年間不明であった場合、親族等は家庭裁判所に失踪宣告(一般失踪宣告)の申立てをすることができます。失踪宣告を受けた者は7年の期間満了時に死亡したものとみなされ、戸籍にもその旨が記載されます。失踪宣告には船が沈没したり、その他の事故などに遭った者の生死が不明のとき申し立てることができる失踪宣告(危難失踪)もあります。

相続人の中に海外で暮らす者がいます。どうすればよいですか。

この頃では海外に赴任している人も多く、相続が発生したときに、すみやかに相続人全員が集まれるとは限りません。このような場合、その相続人のいる国の日本大使館や領事館等から在留証明書、署名(及び拇印)証明を取り寄せて、相続手続を行うことができます。

・在留証明書

海外で生活する日本人につき相続人としての権利が発生した場合は、外国における現住所を証明する書面を添付して、相続登記申請等をする必要が生じます。その際は、その日本人が海外に在留していることを証明する在留証明書を在外公館(日本大使館、総領事館)に発給申請をします。

・署名(及び拇印)証明

日本では不動産登記申請等で印鑑証明書の添付が必要となります。しかし、日本に住民登録がなければ日本の役場に印鑑登録ができません。この署名(及び拇印)証明は、海外在留日本人が印鑑証明書を必要とする際に、在外公館が、日本での印鑑証明に代わるものとして本人の署名(及び拇印)であることに間違いないことを証明し発行するものです。

私には相続人がいません。私が亡くなった場合、遺産はどうなるのですか。

被相続人に相続人がいない場合(いるかどうか明らかでない場合も含む)、被相続人の債権者、受遺者(じゅいしゃ)、特別縁故者(とくべつえんこしゃ)などの利害関係人からの請求により、家庭裁判所が相続財産管理人を選任します。利害関係人からの請求がない場合は検察官が請求をすることもあります。相続財産管理人選任は2か月公告されます。この間に相続人が現れない場合は債権者・受遺者に対して債権申出の公告を行います。2か月以上の債権申出の期間内に相続人が現れない場合は相続人捜索の公告を行います。6か月以上の公告期間が経過したときに相続人の不存在が確定します。その後3か月以内に特別縁故者からの請求により、家庭裁判所は相続財産の全部又は一部を、特別縁故者に与えることができます。特別縁故者として認められるのは以下の者とされています。(代表例としては内縁の妻や事実上の養子)

(1)被相続人と生計を同じくしていた者
(2)被相続人の療養看護に努めた者
(3)その他被相続人と特別の縁故があった者

特別縁故者がいない場合や、特別縁故者へ相続財産の一部しか与えずに相続財産が残った場合、その財産は国へと帰属します。このように相続人や特別縁故者がいないケースでは財産が最終的に国の所有となってしまいますので、財産を譲りたい人がいるならば遺言書を作成しておくことをお勧めします。なお、司法書士は、この相続財産管理人になることができます。また相続財産管理人選任申立書を作成する業務も行っておりますので、手続がよくわからない方は、お近くの司法書士にご相談ください。