お知らせ

2019.10.10 トピックス

「長期間相続登記等がされていないことの通知」について

(2022.10.26更新)

1. この通知は何?なぜ届いたのですか?

30年以上にわたって空き家・空き地の登記手続がされていないため

法務局から「長期間相続登記等がされていないことの通知」が届いて驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。この通知は「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」に基づいてされたものです。具体的には登記された所有者がお亡くなりになってから30年を超えても相続登記等がされていない土地を対象としたものです。法務局は登記された所有者の法定相続人の調査を行ったうえで、その法定相続人のうちお一人の方に相続登記を行っていただくために発送しています。

2.通知が届いたら、何かしなければいけないのですか?

お近くの司法書士にご相談ください!

この通知が届いたあなたは対象土地の相続人のお一人ということです。通知が届いてお困りのときは、まずは、お近くの司法書士にご相談下さい。
ご相談を経て司法書士へご依頼をいただきますと、「長期間相続登記等がされていないことの通知」をお預かりし、代理人として法務局へ行きます。司法書士は法務局で「法定相続人情報」を閲覧して相続関係を確認します。法定相続人情報には相続人全員が記載されていますので、判明した相続人の皆さんで対象土地を誰が相続するかを話し合っていただきます。この話し合いが遺産分割協議です。
遺産分割協議が成立したら、協議の結果をまとめた遺産分割協議書を作成します。そして、対象の土地の相続登記の申請を行います。ご自身でも遺産分割協議書等の作成や相続登記の申請は可能です。とはいえ、登記申請の際には専門的な知識が必要となることもあります。登記申請の際も司法書士にご相談ください。
愛知県司法書士会では相続登記など相続に関することなどをご相談いただける無料相談会を実施しております。また、ご希望の方にはお近くの司法書士事務所のご紹介もしております。司法書士をお探しの際にはぜひご活用ください。なお、個別の司法書士費用についてはご相談先の司法書士事務所に直接お尋ねください。

愛知県の司法書士へのアクセスは下記をご利用ください。

相談先の司法書士のご紹介や、届いた通知書についてちょっと確認したいことなど。
「長期間相続登記等がされていないことの通知」が届いたときには登記・相続電話ガイドをご利用ください。

日時
:平日(月曜日から金曜日・祝日除く)午前10時から午後1時まで
電話
050-3533-3707

 
登記・相続電話ガイドの詳細はこちら

3. 自分で手続きをするときは?

法定相続人情報の取得からはじめましょう!

まず最初に最寄りの法務局で法定相続人情報を取得して、相続人の確認をしましょう。「長期間相続登記等がされていないことの通知書」は対象土地の管轄法務局から発送されていますが、相続関係を記載した法定相続人情報は最寄りの法務局でも入手できます。法務局では「法定相続人情報の閲覧」のため、法定相続人情報等閲覧請求書に必要事項をご記入のうえ窓口で提出して下さい。対象土地が愛知県内の場合は閲覧申請の際には、以下のものが必要です。この閲覧請求にかかる手数料は1件につき450円です。詳しくは申請先の法務局でご確認ください。

  1. 長期間相続登記等がされていないことの通知
  2. 本人確認書類(運転免許証、保険証等)
  3. 法定相続人情報に「相続人」とされている方が亡くなっている場合にはその方の戸籍謄本等(亡くなったことと、その相続人であることが分かる資料)が必要です。

法定相続人情報は最寄りの法務局で取得できますが、相続登記の申請は対象土地の管轄法務局で行います。
郵送やオンラインでも登記申請は可能ですが、登記申請手続きについてご不明な点は司法書士までご相談ください。

対象土地がどのような土地か知りたい方へ

最寄りの法務局で対象土地の「登記事項要約書」や「登記事項証明書」を取得してご確認ください。それらは対象土地の登記記録上の地目、地積、所有者その他の権利関係が記載されています。
「登記事項要約書」は現在の登記事項だけが記載されています。「登記事項証明書」には現在及び一定期間の過去の登記事項が記載されています。手数料は「登記事項要約書」は1通450円、「登記事項証明書」は1通600円です。なお、1通の枚数が50枚を超える場合には、その超える枚数50枚までごとに「登記事項証明書」は100円、「登記事項要約書」は50円が加算されます。また土地の形状等を確認したい場合は、法務局で地図・地図に準ずる図面(公図)が取得できます。こちらの手数料は1通450円です。

長期相続登記等未了土地に関する相続登記の特例について

長期間相続登記等がされていないことの通知の対象となった土地について、相続登記の申請時に相続を証する戸籍謄本等の添付が不要とされる特例があります。相続開始から長期間経過し、数次の相続が発生するなどして相続人が増えてしまっていると相続関係を証明する戸籍謄本等が膨大になります。その場合、証明書の取得費用が高額になったり、すべて集まるまでに時間がかかってしまうことがあります。しかし、法務局が相続人調査を行って作成された法定相続人情報を利用すればその手間はありません。通知を受け取られた際はこの特例措置を利用して、相続登記手続きを行いましょう。

4. 愛知県司法書士会からのお知らせ

相続人の名義に変更するためには相続登記の申請が必要です。これまで任意とされていた相続登記は令和6年4月1日から義務となり、申請期限も設けられました。その申請期限は「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、相続によって所有権を取得したことを知った日から3年以内」と定められています。また令和6年4月1日より前に発生している相続であっても相続登記の申請が済んでいない不動産についても相続登記の申請期限の規定は遡及して適用されます。この場合は原則として施行日から3年以内が申請期限になります。なお、正当な理由がなく申請を怠った場合には、10万円以下の過料が課される可能性があります。
長期間、相続登記がなされていない不動産は世代が進み相続関係が複雑になっていることも多く、いざ名義変更をしようと思っても容易にできず、思いもしない出費や、裁判上の手続きが必要になったりします。 相続登記をしないことによって不動産を適切に管理しようとする意識は薄れていきます。先代から放置された土地の倒木や空き家となった建物の朽廃により、近隣に損害をおよぼした時には、相続人として損害賠償責任を負うことがあります。お子さんやお孫さんの世代にこうした負担を残さないためにも、今すぐ相続登記をしましょう!
司法書士は相続登記の専門家です。是非ご相談ください。

5. 「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」とは

「所有者が分からない土地」を「地域に役立つ土地」とするために

現在日本において、登記記録上で所有者の所在が確認できない土地の割合が全国で約20%にのぼるとされています。所有者の所在が確認できない土地が増加するということは、土地の管理をしないことによる周辺環境の悪化や、公共事業用地の買収など土地取引の際に所有者の探索時間と費用が拡大することなど、国民経済に様々なデメリットをもたらします。「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(平成30年法律第49号)」は、このようなデメリットを解消することを目指すものです。この法律に基づいて、法務局は所有者不明土地の法定相続人の調査を行い、相続登記が未了であると判明した土地の登記記録に長期間相続登記等が未了である旨や法定相続人情報の作成番号を記録します。また、対象の土地の法定相続人の方には「長期間相続登記等がされていないことの通知」をすることで相続登記の申請の促進を図ります。